公然の秘密

「あ、そうか…」

言われてみたらそうだと、柚愛は思った。

「それじゃあ、あなたのことはなんて呼べばいいのでしょうか?」

柚愛が聞いたら、
「そりゃ、名前に決まってるだろ」
と、尾関は答えた。

「そ、そうですよね…」

柚愛は少しだけ考えると、
「ーー麗一さん、でいいでしょうか?」
と、言った。

「うん、いいよ。

もう少し言うならば敬語もやめて欲しいところなんだけど、それは少しずつでいいから」

「はい、わかり…じゃなかった、わかった」

柚愛の返事に尾関は嬉しそうに笑った。

「それじゃあ、夕飯を作ることにしますか。

柚愛は先に風呂にでも入って待っていてくれればいいから」

「それじゃあ、お言葉に甘えて」

柚愛はリビングを後にしたのだった。