尾関のマンションに入ると、
「ここが今日から柚愛の部屋だ…と言っても、今の今までゲストルームとして使っていたのを提供するだけだけどな」
と、一室に柚愛は通された。

ベッドにソファーにテレビ…と、まるでホテルのようだと柚愛は思った。

「何か足りないものや必要なものがあったらいつでも言ってくれればいいから。

それでここはクローゼットな」

尾関の手で開けられたそこは、中は広くてたくさんの服が入りそうだと思った。

「収納ボックスを買った方がいいか…」

クローゼットの中を見た尾関はそんなことを呟いた。

「照明はこのリモコンで点けたり消したりすることができるから。

電池式だからなくなったら教えてくれ」

「はい」

「他には…」

「尾関さん」

声をかけてきた柚愛に尾関は視線を向けた。

「ありがとうございます」

お礼を言った柚愛に、
「いいってことよ」
と、尾関は笑った。