公然の秘密

「こんな状況でこんなことを言うのはおかしいと思っているんだけど…俺、嬉しいって思っているんだ。

あんたが俺を選んでくれたことがとても嬉しいって、そう思っているんだ」

そう言った尾関を柚愛は見つめた。

「あんたーー柚愛を幸せにしたいし、結婚したいと思ってる。

子供だって1人…いや、柚愛が望むならばたくさん欲しいと思ってる」

(私のことを“柚愛”って呼んでくれた…)

自分の名前のはずなのに、彼が呼ぶと特別なもののように感じられた。

弘人にも両親にも呼ばれたことはもちろんあるのだが、尾関に名前を呼ばれると不思議と胸が熱くなるのだ。

「だから、柚愛…今からちゃんと言う」

尾関は自分の顔をじっと見つめると、
「ーー俺と、結婚してください」
と、言った。