あれから半年が経った。

弘人は廃人のようになってしまったことを尾関から聞いた。

近いうちに精神病院へ送られることが決まったらしい。

「さすがの両親もそのことを知ったら動揺するかと思ったけれど、自分たちには関係ないと言わんばかりの態度をとられたんだってさ。

本当に彼らからして見たら息子はいなかったのも同然だと思っているんだな」

岩倉から全ての顛末を聞いた尾関はやれやれと言うように息を吐いた。

「元を辿ったら親が全ての原因だった、と言うことだよね?」

柚愛はそう言うと、麦茶が入っているグラスをテーブルのうえに置いた。

「子供は親を選べないと言うのはよく言ったものだな…」

尾関は息を吐くと、麦茶を口に含んだ。