「えっ…ちょっと、抱き潰すって…。

私、そんなに体力がないんですけど…」

突然の宣言に柚愛は戸惑うことしかできなかった。

「知るか、今のは柚愛が悪い」

「り、理不尽過ぎない?」

「どうだろうな」

(いや、わかってるでしょう!)

当然のことながら、柚愛が心の中でツッコミを入れたことに気づいていない。

「もしかしたら、これでできる可能性があるかも知れないな」

「な、何が…?」

「わかっているうえで聞いているとしたら相当なまでに質が悪いぞ、おい」

その言葉の意味に気づいた柚愛はすぐに目をそらした。

ウブな反応だと、尾関は思った。

(本当に質が悪い)

尾関は心の中で呟くと、柚愛の唇に自分の唇を重ねた。