「だ、大丈夫だから…私は、何もされていないから…」

そんな尾関を柚愛はなだめた。

弘人は警察官たちに連れ去られていた。

「柚愛、俺たちも行こう」

そう言った尾関に、
「それが…」

柚愛は足首に巻かれている鎖を指差した。

「あいつ…!」

それを見た尾関は弘人の方へ行こうとしたが、
「待って、落ち着いて!」

柚愛は彼の腕にしがみついて止めた。

「ああ、そうだな。

まずはそれが先だな」

腕にしがみついて止めたのを先に鎖を外してくれと解釈をしたみたいだ。

本当は尾関が弘人を殴りに行くのを止めただけなのだが、そんな風に勘違いをしてくれたことにホッと胸をなで下ろした。

「うわっ、どうやって巻かれてるんだよ…」

足首の鎖に尾関は困った様子を見せた。