柚愛は震えながら、弘人のその姿を見ていることしかできなかった。

自分と加納のことを悪者扱いして、自分が言い返したら口を閉じて躰を震わせたかと思ったら、突然のように泣き出して、狂ったように叫んで倒れた。

突っ伏した状態で大きな声で叫ぶように泣いている弘人の姿は、恐怖そのものだった。

その時だった。

「そこまでだ!」

バン!

ドアが大きな音で開かれたかと思ったら、そこに乗り込んできたのは制服姿の警察官たちだった。

「柚愛!」

彼らの中から尾関が現れて、柚愛に駆け寄ってきた。

「れ、麗一さん!」

柚愛は彼の名前を呼んだ。

「俺がいなかったせいで、こんなことになっちまって…ごめん、本当にごめん…!」

柚愛の姿を見た尾関は泣きながら謝った。