「お前は尾関の隣にいるから、尾関の息がかかっている以上は近づくこともできないし、取り返すこともできない。

だから、あいつのマネージャーの加納に協力をしてお前を取り返そうと思った。

母親や弟妹と言う人質も用意して彼女に近づいて廃工場に呼び出した」

唖然としている柚愛をよそに、弘人は話を始めた。

「それなのに、あの女は協力を断ったどころか俺のことをバカにしてきた!

“そんなことをしたって彼女は戻ってこない、あなたのそう言うところが嫌いだったから別れたんだ!”って、俺の人格を貶めてきやがった!

“あなたは自分の思い通りにならなくて親に向かって泣きわめいているだけのイヤイヤ期の子供だ!”って、ついには俺を子供呼ばわりしてきた!」

目の前にいるのは弘人ではなく、彼の姿をした化け物ではないかと思った。