「俺たちは長くつきあっていたんだぞ？

それなのに結婚とか子供とかバカバカしい…。

一体何をそんなにこだわっているんだ？

両親が急かしているから、周りがそうだから、そんなものは理由になるか」

弘人は言った。

「あなたこそ、何をそんなにこだわっているのかわかりません。

結婚どころかその話自体も嫌がってるあなたの方こそ理由がわからないです」

柚愛は言い返すと、
「それよりも、私はどこにいるんですか？

早く帰らないと、麗一さんが心配するわ」

足を動かそうとしたが、動けなかった。

「えっ？」

そちらの方に視線を向けると、足首に鎖が巻かれていた。

「ちょ…ちょっと、ふざけないでよ！

何なんですか、これは！」

柚愛は巻かれている鎖を指差した。