公然の秘密

数日後に加納の通夜が行われた。

柚愛と尾関は彼女の通夜に出席した。

お坊さんが唱えているお経を聞きながら列に並ぶとお焼香をあげた。

参列者の中からはすすり泣いている声が聞こえた。

彼女との突然の別れに悲しんでいるのがよくわかった。

柚愛と尾関は加納の身内がいる席の方へと足を向かわせた。

加納の母親と弟と妹は自分たちがこちらへきたことに気づくと、腰をあげて小さく頭を下げた。

「この度は…」

尾関は呟くように言って頭を下げたので柚愛も倣うように頭を下げた。

「正直なことを言うと、今でも信じられないです…。

あの子が亡くなったなんて…」

加納の母親は泣いていた。

「姉ちゃんにはずっと世話になりっぱなしで、その恩を返す前に…」

泣き崩れそうになった弟を妹がすぐに支えた。