公然の秘密

いつまでそうしていたのだろう?

「ただいま」

玄関のドアが開閉する音と尾関の声が聞こえたので、柚愛は玄関へと足を向かわせた。

「おかえりなさい」

出迎えた柚愛に尾関は答えるように手をあげた。

「だ、大丈夫…?」

「大丈夫じゃないな…」

尾関はひどく疲れた様子でリビングへと向かったので柚愛は彼の後を追った。

彼がソファーに座ったのを確認すると、柚愛はキッチンへ行くとコップに麦茶を注いだ。

「…ありがとう」

柚愛の手から麦茶を受け取った尾関はそれを口に含んだ。

「何か食べる?

と言っても、冷凍のパスタになっちゃうけど」

そう言った柚愛に、
「いい、いらない…」

尾関は首を横に振って答えた。