「ヨッシャー、勝った!」

「やっぱり負けた…」

泣きの1回で始まった勝負は尾関が勝った。

「わかりましたよ、買ってきますよ」

柚愛は渋々と言った様子で立ちあがった。

「いや、俺も行く」

「えっ、何で?」

「夜に、それも女を1人で行かせるほど俺は鬼じゃないから」

尾関はよっこいしょと呟くと、立ちあがった。

「勝負の時は鬼だったのに…」

「それに関しては柚愛が悪い」

「はいはい」

ああ言えばこう言う、こう言えばああ言うである。

厳しいのか優しいのかよくわからない尾関に柚愛はやれやれと心の中で呟いた。

どうせすぐに戻ってくるんだし、照明やテレビ画面はこのままでいいか。

財布だけ手に持つと、柚愛と尾関は部屋を後にした。