「夜にやることって言ったら、それしかないじゃん。

どこかへ遊びに行くのも何かあれだし」

「だ、だからと言って、そ、そう言うのは…」

「柚愛はしたくないの?」

「何で聞く必要がある!?」

ああ言えばこう言う、こう言えばああ言う…である。

言い返せば言い返すほどにドツボにハマっているような気がして仕方がない。

(我ながら情けない…)

両手で頭を抱えたくなった柚愛に、尾関は笑った。

「柚愛」

その響きは、ベッドのうえで呼んだ時と同じトーンだった。

「な、何よ…?」

そう聞いた柚愛に、
「したくなっただろ?」
と、尾関はニヤニヤと笑った。

「バカか!」

大きな声で言い返した柚愛に尾関は耐えることができなかったのか、声を出して笑った。