(あっ、起きた…)

そう思ったが、
「ーーッ、んっ…」

尾関は柚愛を抱きしめただけだった。

(何だ、ビックリした…)

まぶたが動いて起きたかと思ったが違った。

自分が寝顔を見ていたことに気づいたら、尾関はどんな顔をしたのだろうか?

その姿を見たかったような気もするし、見たくなかったような気もする。

(まあ、いいか)

尾関に抱きしめられたせいなのか、彼の体温が躰に伝わったせいなのか、眠気が襲ってきた。

(このまま二度寝をするのも、いいかも知れないな…)

仕事は辞めたし、今日は特にこれと言った用事はない。

尾関の体温を感じながら、柚愛はそっと目を閉じた。

彼の腕の中で、柚愛は再び眠った。