公然の秘密

その後のことは記憶にない…と言えば嘘になる。

尾関は優しい手つきで、まるで大切なものを扱うかのように接してくれた。

「ーー怖いか?」

そう聞いてきた尾関に柚愛は首を横に振って答えた。

彼に思っていることが全て聞けたからだろうか?

気持ちが通じあったからだろうか?

「ーー柚愛…」

尾関が名前を呼んだ。

「ーー好きだ、愛してる…」

そう囁いて抱きしめてきた尾関に、柚愛の目から涙がこぼれ落ちた。

悲しいから泣いているんじゃない。

嬉しいから泣いているのだ。

「ーー私も、麗一さんを愛してます…」

柚愛は伝えると、彼の背中に両手を回した。

尾関と一緒に過ごした夜は、どこまでも深くて甘くて…このまま彼と一緒に溶けてしまいそうだった。