公然の秘密

寝室のベッドのうえで向かいあわせに座っていた。

「こんなことを言うのはあれだけど…」

尾関はそう前置きをすると、
「自信がないかも知れないです…」
と、言った。

「えっ?」

柚愛は聞き返すと、
「麗一さん、もしかして…」

「初めてじゃない!」

質問をさえぎるように尾関はすぐに言い返した。

「お、おう…」

柚愛は首を縦に振ってうなずいた。

「何つーか、その…あれだ…いろいろと緊張して、だから…」

「麗一さん」

柚愛は尾関と目をあわせると、
「私は、どんな麗一さんでも受け止めますから」
と、言った。

「後で文句を言うのは、なしだからな?」

「麗一さんこそ、やめるのはなしだからね?」

「…傍から見たら喧嘩してるんじゃないかと思われそうだな」

ムードがなさ過ぎる…と、尾関は自嘲気味に呟いた。