退職の手続きを終えた柚愛は打ちあわせの仕事だった尾関と合流した。

「お疲れ、無事に終わったか?」

そう声をかけてきた尾関に、
「うん、終わったよ」
と、柚愛は答えた。

「それじゃあ、今度は役所に行くか」

「うん」

いつものように手を繋ぐと、尾関と一緒に市役所へと足を向かわせた。

「おめでとうございます」

婚姻届を提出したら祝福の言葉をかけられた。

「ありがとう」

「ありがとうございます」

祝福の言葉をかけてくれた役所の人に柚愛と尾関はお礼を言った。

柚愛はそれまでの“加藤木柚愛”から“尾関柚愛(オゼキユア)”に名前が変わった。

市役所で入籍を済ませると、小桃への手土産を買いたいと言う尾関に付き添う形でデパートへと向かった。