「長い間、お疲れ様でした」

「ありがとうございました」

退職の手続きは無事に終わった。

制服はクリーニングに出して返したし、所属していた部署の人たちに菓子折りを持って別れのあいさつをしたし、更衣室のロッカーの中に入っていた荷物も全て片づけた。

店長への最後のあいさつを終えた柚愛は事務所を後にすると、外に出た。

「…何かあっと言う間だったな」

柚愛は呟いた。

(しばらくはニート…いや、専業主婦かな?

麗一さんもゆっくりすればいいって言ってたし、働きたくなったらまた探せばいいって言ってたし)

念のために周りを見回して弘人がいないかどうかの確認をしたが、彼の姿はそこになかった。

自分に嫌がらせをして気が済んだのだろうかと思いながら、柚愛はその場から立ち去った。