「言いますね」

そう言って笑った門谷さんに、
「幸せになることは平等だと思っていますから」
と、わたしは言い返した。

「そうですか」

門谷さんは返事をした。

「それじゃあ、そろそろ帰りましょうか」

そう言って話を切りあげた門谷さんに、
「今日はお時間をとっていただき、ありがとうございました」

わたしは言った。

「あんな修羅場展開になってしまいましたが」

「ドラマや小説でしか見たことがない貴重な体験ができたと、そう思うことにします」

「プラスなお考えですね」

わたしたちはお互いの顔を見あわせると、クスクスと笑いあった。

「それでは…」

「さようなら」

わたしたちはそう言いあうと、別々に離れた。