「ここに書いたる“門谷義隆”って、『ライム』の秘書はんのことやんな?」

そう聞いてきた宇大くんに、
「そうだけど…えっ、どう言うことなの?

仕事以外で関わっていないよね…?」

わたしは首を傾げることしかできなかった。

変な宣言はされたけれど、それに対して首を縦に振った覚えはない。

と言うか、なるつもりもないんですけど。

仕事以外で関わったと言えば婚活パーティーか一緒に水族館に行ったこと…かも知れないけど、何か起こる前に逃げたから当てはまらないはずだ。

「誰かのイタズラなんかいな?」

「…かも知れないね」

わたしは返事をすると、手の中の紙を丸めてゴミ箱に捨てた。

「きょうび手紙なんて幼稚なことするヤツがおるもんだな」

「相手は相当なまでの暇人かも知れないわね」

わたしは返事をすると、椅子に腰を下ろした。