「いるんですよ、そう言う“私ならば”って言う人が」

「“私ならば”?」

それはどう言う意味なのだろうか?

「“躰だけの関係なんて虚しいだけだ”とか“幸せになれない、辞めた方がいい”とか“何かトラウマがあるならば一緒に解決したい”とかって言うんですかね」

そのセリフは、今までに言われたことがあるのだろう。

「“私ならば”あなたを変えることができるって言う…早い話が、聖人ぶっていると言うヤツですかね?」

門谷さんはそう言って自嘲気味に笑った。

「向いていないと言うか嫌いと言うか…俺を支配しようって言う魂胆が見え見えなんですよ」

「支配って…」

何だかよくわからないけど、理解ができないことだけはわかった。

「どうせだったら自由な方がいいでしょう、セフレは面倒なことが一切ありませんから」

「…そ、そうかい」

聞いたわたしがバカでした。