入社当時からの社員たちやその前からよく知っている社員たちがわたしのことを見ていた。

そんな彼らの顔を見回した後で、
「本日から建設会社『マンダリンハウジング』の社長になりました、来生蜜柑です。

よろしくお願いします」
と、わたしは自己紹介をして頭を下げた。

「おめでとう!」

「頑張ってね!」

社員たちから拍手と声があがって、わたしはホッと胸をなで下ろした。

よかった、歓迎された…。

社長としてのあいさつを無事に終えると、彼らはそれぞれの仕事に向かったのだった。

「ああ、終わった…」

本日の大仕事は終わったけれど、自分の仕事が終わった訳ではない。

「よし、頑張ろう」

カバンからダブレットを取り出すと、それをデスクのうえに置いた。