芸能人のような容姿にハイスペックな職業ときたら女性にモテモテなのは間違いない…のであるが、宇大くんは先月に結婚したばかりである。

当たり前か、こんないい男を放って置く方が間違っているか。

心の中でそんなことをブツクサと呟いていたら、
「蜜柑ちゃん、もう時間だよ」
と、宇大くんに声をかけられた。

「わかった」

わたしは返事をしたのを確認すると、宇大くんは離れた。

気持ちを落ち着かせるために深呼吸をすると、今日の自分の格好を確認した。

この日のために新調したグレーのストライプのパンツスーツに汚れやシワは特にない。

鮮やかなオレンジ色のシャツにも汚れやシワがない、黒のパンプスもキレイだ。

「よし」

小さな声で気合いを入れると、足を踏み出した。