「…和佳菜」
「仁が嫉妬してたのは、このこと。みんなで相談してたのよ。どんなのがいいかなって」
「…え」
「というか、仁。なんで、誕生日教えてくれなかったのよ。ま、聞かないあたしも悪いんだけどさ」
「…忘れてた」
ほんとに、まじで。
自分が生まれてきて、母さん以外に望まれたことなんてなかったし。
誕生日なんて祝ったら、親父が機嫌を悪くするから、母さんがこっそりプレゼントをくれたくらいだ。
それも、もう、…数年前の話だが。
「みんな、勝手にすると怒られるからって出来なかったんだって。でも、あたしが許可した!ね?いいでしょう?」
もうお前が獅獣を握ってるも同然だな。
「俺がダメって言うはずがないの、分かっていってるだろ」
お前にひたすらに惚れてんのを、彼女は分かってるんだろうか。
分かってないと困るんだけど。
この子はどうも、異様に鈍すぎるから。
俺が他の男を牽制する気も分かって欲しい。



