先月、やっと長い戦いが終わった。
今日はそのことをネチネチを言われんだろうな。
ここらへん一体は、獅獣のシマだ。
でも、銀深会の管轄下であることには変わりなく。
和佳菜と出会ったのは、そこらへんで銀深会と揉めてた頃だった気がする。
俺、若頭なんだけど。
そこらへんの管轄くらい平気なんだけど。
どうして、10代を餓鬼と言いたがるのか俺には分かんねえ。
今日来るおっさん達だって、俺よりも金額あげてねえだろ。
あー、ダル。
そんなだるーいオキャクサマのとこに行く前に、俺はちょっと寄り道する。
「隆、テメェ誰の女の子か分かってて言ったのか?」
この千鳥足。
自覚ねえとは言わせねえ。
「ふぇ…!?え!総長!あれ?な、なんのこと…」
「惚けんなら、今すぐ殴るけど」
惚けなくても殴るけど。
「うっ、嘘ですー!すいませんっ」
「問答無用」
ゴキ、と鈍い音がその場に響いた。
うん、…これならすぐには動けないだろ。
ちょっと、満足した。
いや、やっぱまだだな。
「和佳菜」
愛しくて堪らない彼女を呼び寄せて。
「なに?」
キョトンとした顔に囁いた。
「夜、覚悟しとけよ」
彼女の頭を撫でながら笑った。
すぐに真っ赤になる彼女は、は?と言って固まったままだ。
あー、スッキリした。
ちょいと頑張ってきますか。
行ってくる、といっても反応なし。
ほんと、面白い。
俺がクソジジイのいる部屋に入ってからも、和佳菜がずっと固まったままだった話を後から聞いて、ニヤケが止まらなかったのは、ここだけの話。