「…は?」
「だって、これは今のことじゃないでしょう?今のあたしにはすっごく関係のない話よ」
「それ、答えに…」
「琢磨がどう思おうと勝手にしていいけど、あたしには、あの日のあの答えは本物だったのよ」
あれは、恋だった。
蓮との人生がイレギュラーであったとしても。
ホテル火災という、とても冷静な場ではなかったとしても。
あの時、あの瞬間。
あたしは確かに恋に落ちていた。
その気持ちを、心を。
他人は勝手にどうこう言える立場ではないのだ。
「和佳菜…」
「あの日が冷静であろうとなかろうと、琢磨があたしの気持ちを疑うのは結構失礼な話よ?」
「…すまん」
「いいのよ、別に」
ただの興味本意だったのだろうし。
そこに悪意が隠れていないことを知っている人間としては、それ以上琢磨を責める気にはなれなかった。



