思い出す姿はひとりしかいない。
綾は今、何をしているのだろうか。
あたしたちを選んでくれたはずの彼の現在をあたしは結局知らないのだ。
唯一知っていることは。
彼がここには来ないということだけ。
仁は話してくれないし。
他のメンバーも口をつぐんだままだ。
きっと、みんな知ってはいるのだろう。
だけど、そのことには触れない。
触れてはいけない。
そんな風に見てとれた。
そんな彼らにどこか、もどかしく思いながら。
それでも彼の現在を知るのが怖いから。
あたしも結局聞くことは出来ないのだ。
「あの日のお前はおかしかった。だから、ほんとって思えないわけ」
確かに、と頷くあたしに対してなおも真剣な様子で彼はあたしを見ていた。
射抜くように、嘘は許さないとでも言うように。
そんな視線にふうと、ため息が漏れた。
どうやら、誤魔化すことは許されないらしい。
「本当にのことを言うわね?」
「そりゃそーだ」
頷く彼に、あたしは目をみてこう言った。
「至極どうでもいい」



