仁side
俺は今、非常に面白くない光景を見ている。
「和佳菜さん!昨日のハヤシライス美味しかったっす!また作ってください」
仔犬みたいに尻尾しっぽ振って、ニコニコしてる最近入った餓鬼。
「あら、嬉しいこと言ってくれるのね。いいわ、また作るわ」
柔らかく微笑んだ俺の彼女のそのカオは、俺には絶対に見せない。
最近、てか付き合ってから塩対応に拍車がかかってる気がする。
多分気のせいじゃない。
俺には見せない笑顔。
ゲームしてる時だって、無邪気に笑ってんのに。
俺の目の前では異様にそっけない。
だからこそ、余計に。
やった!と飛び跳ねるヤツがどうも気に食わない。
「…仁?どうしたの?」
気づけば、洗濯物を畳んでいたはずの和佳菜を俺を見上げていた。