「…ありがとな。すげぇ、嬉しい」
多分、こっちが先なんだよな。
お前の体を心配するとか、そういう話の前に。
だって、喜んでもらいたくてやってるわけだし。
あーーー、しくじった。
でも、このひとは俺がこんなこと考えてるなんて全く知らないで。
「よかった」
そう嬉しそうに声を弾ませる。
そのたびに俺は何度もこう思う。
ほんと、和佳菜のためならなんだって出来る。
こいつの笑顔さえ、守れれば。
それさえ出来ればなんだっていい。
彼女は俺の腕から逃れると。
普段は見せない満面の笑みを浮かべて、俺の頬に唇を落とした。
…やべ、そそる。
「このままやりたいんだけど」
欲望をそのまま口にすると。
「…あたしの料理に口もつけないつもり?」
お叱りの言葉が聞こえてきた。
…だよなあ。
「というか、体の心配をしてくれた仁は何だったの?」
ごもっとも、です。
「んじゃ、隣に座っとけ」
「え?でも、まだやることが」
「あいつらに任せてみろ。お前の望みなら答えてくれっぞ」
自分で何でもやろうとするから、目の下に隈が出来る、なんてことになんだよ。
頼ってみろ。
いつも頼られないからこそ、余計に喜んで何でもやるぞ、あいつら。
「…あー、じゃあ_____」
そう言って、座ったまま指示を出す和佳菜はやっぱり頭の顔をしていて。
陽太がこっそり耳打ちしてきた。
「総長そっくりっすね」
…うん、俺も同感。



