「一輝くん……」


 会ってしまった、とんでもないタイミングで。


 これでは。
 今まで拓生くんと二人で会っていた。
 そのように見えてしまう。


「結菜ちゃん、
 姉ちゃんと遊びに行ってたんじゃ……」


 やっぱり‼

 一輝くん、誤解している‼


 なんとか誤解を解かないとっ。


「うん、彩月と遊びに行ってたよ。
 拓生くんとは今、ばったり会って」


 一輝くん、ちゃんと信用してくれるかなぁ。


 気にかかる、なんだか。
 一輝くんの反応。
 ほとんどない。
 そのことが。


「結菜ちゃん、知ってる人?」


 パニックになっている。
 そのとき。
 拓生くんの小声での質問がきた。


 抑える、必死に。
 パニックになっている。
 そのことを。


「拓生くん、こちら椎名一輝くん。
 私や拓生くんと同じ高校で一年生」


 拓生くんに一輝くんのことを紹介した。

 すると拓生くんは一輝くんのことをジッと見る。


「へ~え、君があの椎名一輝くん。
 特進科の中でもトップクラスで美少年って
 女子たちがよく騒いでるから
 名前は知ってたよ」


 一輝くんは特進科の中でもトップクラスで美少年。
 だから女子たちを中心に有名なのは知っている。

 だけど、そこまで有名になっていたなんて。


 って。
 なんで少し落ち込んでいるのだろう。