えっ⁉


「一輝くんっ⁉」


 一瞬、わからなかった。
 何が起こったのか。

 それは、あっという間。
 私の身体はふわっと浮いた。

 何が起こったのか。
 理解した。
 そのときには。
 すでに下ろされていた。
 一輝くんのベッドに。


 この状況。
 わかっている、頭では。

 だけど驚き過ぎてか。
 出なかった、声が。



 その間にも。
 私が横になっているベッド。
 そこに一輝くんも上がってくる。

 ベッドに上がった一輝くん。
 その一輝くんが私のすぐ横に。


 一輝くんのベッドはシングルベッド。
 なので私と一輝くんの密着度がかなり高い。


 一輝くんの体温。
 それが伝わる、全身に。

 たぶん。
 私の体温。
 それも伝わっていると思う、一輝くんに。


 伝わっている。
 それは体温だけではない。

 一輝くんの胸の鼓動。
 それが全身に。

 それと同時に。
 私の胸の鼓動も。



 ダメだ。


 このままでは。

 このままではっ‼


「一輝くんっ、どうしたのっ⁉
 一体何があったのっ⁉」


 驚き。
 動揺。
 パニック。

 それらを必死に治める。
 そうしながら問いかけた、一輝くんに。


「何もないよ」


 私の問いかけ。
 それとは正反対。
 一輝くんは冷静に返答した。


「だったら、
 どうしてこんなことっ」


 こんなの。

 こんなの一輝くんじゃない‼