その後もグダグダと同じような話をしながらも楽しく食事をした二人だったが、気付けば和花がベロンベロンに酔ってしまいなぎさはペロッと舌を出す。

「和花ちゃーん、飲みすぎた?」

「全然ですぅ。まだ飲めますぅ」

「あー、酔ってるわ、こりゃ」

あちゃ~となぎさは天を仰いだ。
和花にどんどんお酒を勧めたわけではなく和花自らが飲んだ結果であるが、勝手に和花のビールのお代わりを注文した記憶も無きにしも非ずのなぎさ。

「そろそろ帰ろっか?佐伯くんに迎えに来てもらおうよ?」

「え~?佐伯さん~?えへへ~」

素直に喜びを顔に出した和花に、なぎさは苦笑いだ。素面でもそれくらい素直に秀人に甘えたらいいのにと思わなくもない。

(もしかしてこれはチャンスかしら?)

ニヤリとほくそ笑み、なぎさは秀人に電話をかけた。すぐに電話に出た彼はまだ仕事をしていて、むしろそれは和花を待っていたのではないかとさえ思えてくる。

(はー、二人とも不器用だこと)

なぎさは声もなく笑いながら、

「佐伯くん?和花ちゃん酔わせちゃったから、ごめんけど迎えに来て。駅前の創作居酒屋にいるから。急いでね」

と高らかに命令するのだった。