翌日社内メールを確認するがやはり秀人からの返事はなかった。少しガッカリしつつも封筒の購入依頼を進める。そしてその依頼はあっけなく承認されたのだった。

和花は秀人の斜め前に座っている。とても近いのに仕事中はあまり話すことはない。以前頼まれた部門費の仕事も、最初こそ一緒に手順を確認したが今は和花一人でデータを出しグラフも作成している。それについて言及されたことはないので上手くやれているということなのだろうが、それはそれで少し寂しい気もする。

秀人は普段会議が多く、席を外したりイヤホンを付けていたりするので直接話す機会は少ない。わかってはいるが、秀人が席を立つとき、戻ってくるとき、和花はついつい目で追ってしまっていた。

夕方、和花が仕事に没頭していると、ふいに横に秀人がやってきた。

「今いいですか?」

和花の横に屈んで目線を同じ高さに合わせる。相変わらず細やかな気配りをする秀人の立ち振舞いを見て、和花はすっと警戒心が抜けていく気がした。

「メールだと伝わりにくいと思ったので直接話そうかなと。請負さんの備品購入のことなんですけど」

「……はい」

薄れた警戒心が再び呼び起こされる。今度は何を注意されるのか、和花に緊張が走った。