数分後、頭からタオルを被った彼女がシャワーから出てきた。ふわりとシャンプーの良い匂いが漂う。


「ありがとう、」


 初めて彼女の声を聞いた。
 僕は、温かいココアを入れて彼女に差し出した。



「はい」


 控えめに小さくぺこりと会釈してマグカップを受け取り、両手で包み込む彼女。
 テーブルの前に二人で座ることにした。


「ねぇ、家どこ?」


 君は誰?なんであんなところに居たの?歳はいくつ?

 サラサラのロングストレート、潤んだ瞳、透き通ったような肌。

 可愛い彼女は謎だらけだったけれど、いきなり女の子に年齢を聞くのも失礼なのか?と思い、とりあえず住んでいる場所を尋ねた。


「家族とか心配するでしょ」

「大丈夫、どうせ一人だから」


 大丈夫。確かに彼女は告げた。意味深そうに。