ーーこれで詠唱破棄なのか?
もしかしてこの世界で言う"詠唱"って漫画とかアニメで見るあの長ったらしい文のことか。
「《詠唱ー魔法を行使する際、コントロール力と威力を保つ為に必要。一章、二章、三章と分かれており、その章毎に魔法の質と威力が変わる。
詠唱文を唱えずに魔法を行使することを詠唱破棄と言い、詠唱文すら使わないことを無詠唱と言う。》」
「僕もびっくりしたよ。それで、この倒した魔物はどうしたらいい?」
「冒険者ギルドに報告しましょう。討伐した証拠として、魔物の体の一部を切り取りギルドに提出します。
ツムギ草のクエストも終わってますので、一度ギルドに戻った方がよろしいかと。」
「そうだね。本来の目的は果たせた訳だし帰ろうか。
残ったこの死体はどうする?…放置は流石に駄目だよね。」
図太い木の枝に刺され串刺し状態のままの魔物の死体を見つめる。
「火属性の魔法で跡形も無く燃やしましょう。
このまま放置すれば他の魔物を呼ぶ危険性もありますので。」
「分かった。
クーゲル・ファイア」
イメージは燃え盛る炎を纏った無数の球。
炎の弾丸という意味を持つ僕のオリジナルの魔法だ。
我ながら上手くできたと思っている。
「ルル、帰ろう。」
「御意。」
塵となった魔物を一瞥して、僕はゲートでギルドに戻った。
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