ツムギ草の数が30を超えたあたり、ふと何かの気配を感じた。
それはルルも同じようで、唸り声をあげなら森の奥を睨みつけていた。
「ルルも感じた?あの異様な気配…。
なんだろう、嫌な感じがする。」
「あれは、恐らく魔物かと。」
ーー魔物?
ルルは自分たちのことを"魔物"ではなく、"魔獣"と言っていた。それなら、魔物と魔獣の違いは何なのか。
「《魔獣ー魔力を持った生物の総称。空気中に漂う魔素を溜め込み過ぎると制御が付かなくなり凶暴化する。それらを魔物と呼ぶ。
魔物となった魔獣は理性無き獣と化すため見つけ次第、殲滅することになっている。
尚、冒険者ギルドではCランクから魔物の討伐が可能。》」
「あの魔物かなりヤバくない?」
「結雨様の仰る通り、Sランク相当の魔物です。」
「あんなの放置してたらここ一帯は崩壊するだろうね。
ルル、僕の力で何とかできる?」
「容易いことです。結雨様に出来ぬことなどありません。」
ーー何ともまあすごい自信のことで。
ルルのこの満ち足りた様子を見る限り、唯一神の力というのはかなり凄いらしい。
