清々しい笑顔で、紫水圭は僕に頼み事を言う。それは、若菜と紫水圭の結婚式に出席しろというものだった。

「子どもが……俺たちの大切な宝物ができたんだ。結婚しないわけにはいかないだろ?だから、式に絶対出席してほしいんだよね。警察に今回のことを言われたかったら別だけど」

さあ、どうする?と紫水圭は訊ねる。警察に言われて困るのはお前もだろ!!

「あっ、今「お前も警察に言われたら困るだろ」って思った?地下室に置いてある手錠とか見ちゃったんでしょ?」

「……そうだよ、だから紫水さんも」

困るでしょ、と言う前に紫水圭は勝ち誇ったような笑みを浮かべる。そして僕に近付いて耳元で言った。

「あの地下室は物置き、あの手錠とかはそういうプレイで使うって言えば問題ない。人を誘拐したいならちゃんと言い訳や監禁部屋を用意しておかないと」

それだけ言うと、紫水圭は若菜のいる診察室へと戻って行く。その後ろ姿を僕は見ていた。

若菜は最悪な形でハッピーエンドを手に入れた。そして、僕はそのハッピーエンドを見守らなくちゃいけないんだ。

それが、紫水圭から告げられた僕への最悪の罰。