茨ちゃんは勘違い

百合絵は、修学旅行就寝前の旅館じゃあるまいし、何故こんなに一人で盛り上がれるのか怒りを通り越して不思議で仕方なかった。

四人の内、ただ一人浮きまくったテンションはどこから湧いてくるのか教えて欲しいとも。

畑山と桜の二人は、少し困ったような、それでも興味があるのか複雑な表情を浮かべていた。

「う~~ん……好きな人ねぇ……」
「そうそう♪桜ちゃんは居ないの?」
「私はそういう人はまだ……」
「ほんとぅ~~??嘘じゃないよねぇ~~??」
「ほ、本当だよ。私、今は水泳を一生懸命頑張っていくので頭がいっぱいだもの」

少し頬を紅く染めて、必死に否定する桜が可愛い……じゃなくて!

何二人とも茨のアホにノせられてるんスか!?

百合絵は自分までその空気に飲み込まれそうになり、慌てて正気に戻った。

しかし、茨の暴走は止まる気配が無く、次なるターゲットを畑山へと矛先を変えて、突撃レポーターのようにしつこいくらい人のプライベートな部分を土足で入ろうとする。