茨ちゃんは勘違い

サバンナ風味の造園がなされた園内で、最初に現れたのフラミンゴの群れだった。

色鮮やかなピンク色の羽毛を身に纏い、あり得ないぐらい細い足で己の体重を支え、バランスをとっている様は、見る者を感心させた。

茨はというと、

「ねぇねぇ、アタシとフラミンゴ、どっちが細い?そして可愛い?」

と、決して細くはない寸胴&大根足をちらつかせ、木更津に迫っていた。

「ははは、流石にあんなに細い人間が居たら、ちょっと怖いよ」
「何よ、アタシが太いっていうの?」
「いや、そういう意味では...」
「ふん!聞いて損した!」

いちいち理不尽なキレ方をする茨に木更津は困り果てた。

「あ、でもほら!茨ちゃんも可愛いよ!」
「可愛いって...どのくらい?どの程度?」
「ど、どの程度!?」
「何、お世辞だったっていうの?最悪ー。最低ー。」
「ご、誤解だって〜...」

茨が膨れて、木更津が弁解している内に、バスは次のゾーンへと走っていった。