茨ちゃんは勘違い

茨はわざとらしく身震いをすると、クネクネと腰を揺り動かした。

「やだ〜超怖い〜。肉食系でしょ?アタシもろ草食系だし、美味しそうだし、可愛いから、興奮した猛禽類に食べられかねないんじゃない〜?」
「あははは...ワシやらタカやらは居なかった気もするけれど、どちらにせよ大丈夫、バスの中に入れば安全だからね」

茨の草食系、美味しそう、可愛いというツッコミワードには全く触れず、木更津はご丁寧に補足した。

そして再び茨の手を握ると、

「さぁ、行ってみようか!」

と、グイグイと茨を引っ張りながら、チケット売り場へと歩いて行った。

「ちょっとちょっと〜!アタシってばか弱いんだからもっと優しく優しく〜!全く女の子の扱いがなってないわ〜」

と、憎まれ口を叩きながら、満更でもない不細工顔をさらに不細工にしたような笑顔を振り撒き、茨は木更津の後へとついていった。