凛のような、いわゆる獣人の血をひく種族も今では珍しくなくなってきた。
彼女みたいな耳や尻尾がある人もいるし、人間との異種族婚も増えているから、外見だけでは判断できないことも多い。
昔は隠して暮らしてきた人たちも、今ではこうして共存できるようになってきている。
そういえば、昨日のドラマの俳優さんも狼さんの耳だった。どうも、最近人気の設定みたいだ。
「もしかして、逆かもよ。思春期真っ只中のことでしょ? 急に女の子と同居なんて照れくさかっただけかも」
「だったらいいんだけどね。お互い大人になって、少しは仲良くなれたらいいんだけど」
少なくともしばらくは、その通り同居生活なのだ。
毎日顔を合わせるたびに気まずい思いはしたくないし、できることなら仲良くなりたい。
「それにしても急だね。何で今頃? 」
「分からないけど……もしかしたら、節目だからかな。十年って」
航大くんがいなくなって――つまり、うちの両親と二人のご両親が亡くなって十年。
もしかしたら、お墓参りに来てくれるつもりなのかな、なんて勝手に思ったりした。
もちろん、そんな理由じゃなくても再会できるのは嬉しい。
年月が経つにつれ、どうしても曖昧になっていくのが悲しかったから。
(曖昧どころか、もう随分変わっちゃっただろうなあ……。十年だもんね)
私より3歳下だから、今22歳。
あの頃まだ私よりも小柄だった彼も、もうすっかり大人の男性だ。
町ですれ違ったって、きっと気づかないに違いない。
「そっか……ごめん、適当なこと言って。思春期なんてそんなことだけじゃなくて……大変だったんだもんね」
「ううん。私は颯ちゃんがいてくれたし。でもね、もうそろそろお母さん卒業させてあげないとって思うんだけど」
しゅんと落ちてしまった尻尾を、可愛いと思わずにいられない。
これ、本当に人間の悪い癖だと思うんだけど、どうにも抗えなくて困る。
「にゃっ……もう、そうやってすぐモフるのただの人間の悪いくせだぞ! 」
ほら、言われちゃった。
でも、そんなふうに「反省してます」が駄々漏れな尻尾や猫耳を見ると手が勝手に伸びてしまう。
「もう……みづちゃんなら、まあいいけど。颯大さんも心配なんだよ。ちょっと過保護すぎるけど。みづちゃんに彼氏できたら、どうなるんだろ」
心配性のお母さんのせいか、単に私がモテないだけか。彼氏いない歴絶賛更新中だ。
(それもいいかげん、何とか……!! )
彼女みたいな耳や尻尾がある人もいるし、人間との異種族婚も増えているから、外見だけでは判断できないことも多い。
昔は隠して暮らしてきた人たちも、今ではこうして共存できるようになってきている。
そういえば、昨日のドラマの俳優さんも狼さんの耳だった。どうも、最近人気の設定みたいだ。
「もしかして、逆かもよ。思春期真っ只中のことでしょ? 急に女の子と同居なんて照れくさかっただけかも」
「だったらいいんだけどね。お互い大人になって、少しは仲良くなれたらいいんだけど」
少なくともしばらくは、その通り同居生活なのだ。
毎日顔を合わせるたびに気まずい思いはしたくないし、できることなら仲良くなりたい。
「それにしても急だね。何で今頃? 」
「分からないけど……もしかしたら、節目だからかな。十年って」
航大くんがいなくなって――つまり、うちの両親と二人のご両親が亡くなって十年。
もしかしたら、お墓参りに来てくれるつもりなのかな、なんて勝手に思ったりした。
もちろん、そんな理由じゃなくても再会できるのは嬉しい。
年月が経つにつれ、どうしても曖昧になっていくのが悲しかったから。
(曖昧どころか、もう随分変わっちゃっただろうなあ……。十年だもんね)
私より3歳下だから、今22歳。
あの頃まだ私よりも小柄だった彼も、もうすっかり大人の男性だ。
町ですれ違ったって、きっと気づかないに違いない。
「そっか……ごめん、適当なこと言って。思春期なんてそんなことだけじゃなくて……大変だったんだもんね」
「ううん。私は颯ちゃんがいてくれたし。でもね、もうそろそろお母さん卒業させてあげないとって思うんだけど」
しゅんと落ちてしまった尻尾を、可愛いと思わずにいられない。
これ、本当に人間の悪い癖だと思うんだけど、どうにも抗えなくて困る。
「にゃっ……もう、そうやってすぐモフるのただの人間の悪いくせだぞ! 」
ほら、言われちゃった。
でも、そんなふうに「反省してます」が駄々漏れな尻尾や猫耳を見ると手が勝手に伸びてしまう。
「もう……みづちゃんなら、まあいいけど。颯大さんも心配なんだよ。ちょっと過保護すぎるけど。みづちゃんに彼氏できたら、どうなるんだろ」
心配性のお母さんのせいか、単に私がモテないだけか。彼氏いない歴絶賛更新中だ。
(それもいいかげん、何とか……!! )



