「帰るなら送るよ」 「……ゆきくん」 まだ帰る気分にはなれなくて、 雪森くんの制服の袖を引っ張った。 「……話、聞こうか?」 「……うん」 袖を掴んでいた手をそっと握られて。 雪森くんは私の頭をポン、と撫でると、 ゆっくりと帰り道とは違う方へ歩き出した。