いつの間にか、海ちゃんは昴くんを追って先に行ってて。
連絡をしたら、
喫茶店の前でスマホをいじって待っていた。
「あれ、昴は?」
「喫茶店入ってったよ。
まだ女は現れてない。
中で待ち合わせてるんじゃない?」
「それじゃあもう尾行は無理だろ」
さすがにお店に入ってったらバレるしね。
「コソコソ隠れてるから怪しまれるんじゃん?
堂々と喫茶店入っちゃわない?」
ね!と親指をたててウインクする海ちゃん。
雪森くんは呆れたように息を吐いた。
「……偶然を装うの?」
「そそ。
でもそうすると、突然喫茶店を出て行ったら追いかけるの不自然だし、
一人だけ喫茶店入って、あとは外で様子見しよう」
『じゃ、あたし外で』と挙手して勝手に決めてる。
じゃあ私も外で待機にしようと思った。んだけど…
「俺も外で。
喫茶店に用ないから」