どうせ、私のお弁当を台無しにしたって反省なんかしてない。


私相手には、メロンパン一個で許してもらえると思ってる。



それがもし…“好きな子”だったら。



誠心誠意謝って、代わりのランチとか奢るんじゃないの?



目一杯優しくして、甘やかすんじゃないの?



私にはそんな素振り見せないところがムカつく。



……なんでこんなにムカつくのかわかんないけど、ムカつく。




「千花ちゃん、俺がなんか奢る…」



「………ううん。
もうお腹空いてないからいい」



「……そっか」




雪森くんが気を遣って言ってくれたけど、


こんなにイライラしてる時だったら、雪森くんにも失礼なことを言ってしまいそうで…



なるべく昴くんの顔を見ないように、逃げるように教室を出た。