視界が急に暗くなって、煇先輩に抱きしめられている事に気が付いた。テヒョン先輩の速い胸の鼓動が聞こえくる。
『俺も、好きだよ…、〇〇ちゃんが大好き。』
『空なんか、俺が忘れさせるよ』
腰に手を回してギュッと強く抱きしめる煇先輩に私はまた甘えても、いいのだろうか。
今この抱きしめられて好きだと言われた状況をうまく整理できない。自分の心臓が大きくドキドキ音を立ていて煇先輩の匂いがもっと鼓動を早くする。
離れようとしても、片方の手を私の後頭部に回して抱きしめ直されて煇先輩の高い鼻が肩を擦れてくすぐったい。
「ひか、り、せんぱ、い…私…」
『うん、わかってる、わかってるよ…』
『まだ何も言わないで、』
「でも、」
『好きなんだ…』
後頭部に回された手によって煇先輩との距離がゼロとなった。チュッと音を鳴らして唇を離してまたもう一度唇を重ねる。
頬に添えられた大きな手はやっぱり優しくて、温かくて、煇先輩と目をそらすことができない。おでこをコツンと当てて
『俺にしたらいいのに…』
なんて言って、涙でしょっぱいキスが降ってきた。どくどくと頭まで響く心臓の音のせいで、お昼休みのチャイムも草が踏まれる足音も聞こえるはずがなかった。
