それからも廊下ですれ違うたびに挨拶を交わしたり、食堂で会った時は少しお話もできた。
空先輩はあの時、私の名前すら多分知らなかったと思う。だけど日が経つにつれてお互いのプロフィールを知ることができたし、LINだって交換できた。
LINを交換した時に少しでも違和感を感じていたのに、見て見ぬ振りをしたのは私だ。アイコンが小さく光る線香花火二つの写真。
少しキュッとなったけど先輩からのLINはすぐ返すようにしてたし、電話もするようになった。
仲良くなっていたのは本当だと思う。というか空先輩も私の事が好きなんじゃないか?今この状況は両片思いなのでは?と感じることもあった。
空先輩と仲がいい荒田煇(アラタヒカリ)先輩とも仲良くなれて、お話ししてたら割って入ってくるし
『花に触らないでー』
って煇先輩に言ったり。
だけど本当に自惚れていたみたいだ。
『ねぇ、花ちゃん』
「なんですか?」
『花ちゃんは空が好き?』
「へっ、」
『あーーー!顔真っ赤!好きなんだぁ』
「いやでも先輩としてのす、好きなんで!!」
『嘘はよくないよ〜』
「ゔ、…なんで分かったんですか…」
『直感?』
「は、はぁ…」
男の人にも、鋭い直感というものはあるらしい。
『でも、花ちゃんやめといたほうがいいよ』
「な、なんでですか?」
『空、彼女いるよ多分だけど』
空彼女いるよと言う言葉が私の頭を殴る。
「ま、じです…か…?」
『マジです』
煇先輩の顔は嘘を言っているようには見えなかった。