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授業中の廊下は誰もいなくて、先生の声が教室から聞こえる。空先輩はどこにいるのか見当もつかなくて

" 先輩、話したいことがあります。"

そうLINだけ送って空き教室で授業が終わるのを待つことにした。


誰もいない教室でさっき起こった煇先輩との出来事を思い出しては自分の唇を指でなぞった。煇先輩の唇の感触を思い出して顔がブワァッと熱くなる


「……先輩、…」


煇先輩といる時は自然と空先輩のことを忘れられる。だから…、本当に忘れさせてくれるかもしれない。

あの何回もしたキスだって、煇先輩でいっぱいで煇先輩しか見てなかった。

おでこをくっつけた時に知った長くて綺麗な睫毛も、三白眼で薄く二重の線が入ってて、それだけでキュンとして、湿った唇が色っぽくて煇先輩が視界いっぱいに広がってた。


なのに奥から感じる視線には勝てなくて、気付けば空先輩しか見えていなかった。目があった瞬間、体がサァッと寒くなった気がする。


弱々しい声を出す煇先輩は初めてで、どうすればいいか分からなくなった。でも、固まる体を動かしてくれたのは煇先輩で、私はその時この人のそばにいたいと、思った。



フラれてスッキリして、新しい人とまた新しい恋を始めるんだ。



何もせずに好きな気持ちを消すとか、絶対に無理なんだ…。




今通知がくるはずもないLINを開いては閉じての繰り返し。


「今日、今日で最後にしないと…」


そうじゃないと煇先輩と真剣に向き合うことができない。向こうは私に前からぶつかってきてくれているのに…そう考えながら気付けば送ったメッセージに既読がついていた。