いつも横で笑ってくれていたのも笑顔にさせてくれていたのも全部煇先輩のはずなのに、どうして私はまた空先輩を好きになっているのだろう。
どうしてまた追いかけたくなってるんだろう。
煇先輩に優しくされる度にドキドキしたのに、どうしてまだ空先輩で頭がいっぱいなのだろうか。
「煇先輩、私、」
『そうだよね、追い、かけたい…よね』
先輩の掴む手の力がだんだん緩くなってくる。
『……俺だったらそんな顔させないのになぁ…』
今の私の顔は涙でぐちゃぐちゃで流れきっていない涙を煇先輩は拭ってくれた。
『行っておいで』
頬に添える手が震えていた。
この人ならきっと、本当に忘れさせてくれるんじゃないか。
この人は空先輩がいない時、ずっと私の横にいてくれたじゃないか。
こんな弱いままでいいのかな、私。
「先輩、私行ってきます。でも、おかえりって…おかえりって、言ってくれますか、」
頬に添えられた手に触れると震えが止まってテヒョン先輩の大きな目が細くなって
『うん、いってらっしゃい』
本当に、今日で最後にするんだ。