「…。もしかして、俺か…?」

 黙り込む二人。
 下を向く私。
 私の顔はたぶん真っ赤。

 まさか、こんなことでバレてしまうなんて…

 それはそう。
 あと、誰がいるっていうんですか…

「…はい…」

 下を向いたまま消え入る声でそう返事をするしかない。
 そんなことを聞いたらそう聞かれる、と考えなかった自分のせい。

「え〜…あ、そうか…うん…」

 私は顔を上げられない。

 でも困っている先輩…当たり前。
 私のせい。

「悪い…。…止めとけよ〜、俺なんか!」

 いつもみたいな軽い調子で茶化した。

「…好きなんですもん…待ちますもん、お返事…。私…」

「分かった…。ありがとな」

 みんなとの話し合いのことを顧問の先生と話してくる、と言った部長先輩に私は頭を下げ、頭をほとんど上げないまま部室を出た。


「…妙に遅いと思ったら〜!何してんの、カオ!バカだね〜、それはそうなるよ!」

 私を待っていた部員のみんなに話すと、納得の反応が返ってきた。

「っていうかさ、鈍いよね〜部長!部員みんな、鷹野ちゃんが部長のこと好きなの知ってるのに!」

「…。」

 また下を向く羽目になる私。
 今日はきっと厄日だ…

 おまけに、

「気は無くはないんじゃん?鷹野のことだけ、下の名前で呼ぶし!」

「え…」

 全く気づかなかった…
 普通ならそれは、一番嬉しいことのはずなのに、私は…

「え、ってまさかカオリ…」

「気付かなかったのかよ…」

 私は消え入るような声で下を向く。

「…はい…」