でも、彼女たちのことなんかどうでもよかった。
「か、奏多くん?大丈夫?」
彼の殴られた頬は赤くなっていた。
私は「ちょっと待っててね」と言って図書室前にある水道でハンカチを濡らして、それを
奏多くんに渡した。
「お、ありがと。」
奏多くんはニコッと笑った。私はその笑顔にさっきまであったことが、吹き飛ばされてしまった。
「今度、あんなことあったらすぐ呼んで。」
「はい…」